Section 3 起案例 契約書(資料1)を引用する必要がある。この起案では全体的に証拠の引用が不足している。 前述がどこのことか示した方が読み手に親切であろう。また,ここでは売買契約締結時のことしか記載していないが,契約後の被告とのやりとりも被告の主張を覆す材料となるのであり,そのことも示す必要がある。 契約を取り消し得ないことと,建築制限が付されていないことのつながりがよくない。表現ぶりを修正する必要がある。 直前の日付と同じ日の場合に「同日」とすることがあるが,ここでは「同年3月1日」が正しい。推敲している段階で日付がずれることがあるので,最後に見直して「同日」が直前の日付と齟齬の生じないように気を付けたい。 被告側は動機の錯誤の主張をしているが,理論的には65束して解散した。 ⑵ その後も原告と被告との間では話し合いの場が持たれ,令和3年2月13日の話し合いの中で,被告は,原告らに対して,令和2年10月18日に広告地上で面会したときに,「デッキの上でもって,はっきりと建物の幅について,1から1.5メートルを超えないようにするという話をしている」と言い出した。 そして,最終的には,被告が承諾すれば本件売買契約はこのまま進めるという話になった。3 被告が本件売買契約の錯誤取消しを主張し始めたこと ⑴ 令和3年3月1日が本件売買契約の残代金の支払日であった。 ⑵ 被告は,原告に対し,その直前である令和3年2月27日に,代理人を通じて,通知書(甲第7号証 〔資料12〕)を送付してきた。その内容は,「動機の錯誤により本件売買契約を取り消す」というものである。 被告は,本件不動産売却をするに際して,被告居宅の日照確保のために,本件土地の南側,具体的にいうと本件建物の南側端から南側に計測して,1から1.5メートルを超える建物を建築しないとの制限を課す旨を明言し,原告はそれを承諾する旨を確約したと当該通知書で述べている。そして,被告は,原告によって建築制限が守られることを重要な前提として,本件不動産の売買契約を締結したとして,本件売買契約は,被告が原告に対して重要なものとして表示していた「建築制限が原告によって守られる」との動機に錯誤が存在し,本件売買契約を取り消すと主張する。 しかし,前述のとおり,原告と被告との間で,本件売買契約の締結に際して,被告が主張するような建築制限の条件が付されていた事実はなく,被告が主張するような動機が明言されていたとの事実も存在しない。したがって,被告の主張は認められず,本件売買契約は取り消し得ず,当該契約に建築制限も付されてはいない。 ⑶ 原告は,令和3年2月28日,被告代理人宛にFAX(甲第8号証 〔資料13〕)を送信し,本件売買契約の残代金の支払の準備をし,その受領の催告を通知した。 しかし,同日,被告が決済場所に来ることはなく,残代金を受領しなかった。4 まとめ 以上のとおり,本件売買契約の締結に際して,被告から本件土地上の建築建物について建築制限の条件が存在したとの事実はなく,被告が通知書で述べるような動機が明言され本件売買契約締結の前提となっていたとの事実もない。 したがって,本件売買契約は取り消し得ず,被告は,原告に対し
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