逐条ガイド相続法―民法882条~1050条―
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〜4に(30条2項),同時死亡の推定制度(32条の2)を新設した。これらに併せて,代襲相続の規定が整理された(887条~889条)。総則882条885条第1章 総則 ⑵ 昭和55(1980)年改正(法律51号) 昭和55年改正では,配偶者の法定相続分が引き上げられた(900条1号~3号)。配偶者と子の共同相続における法定相続分は,改正前には配偶者3分の1,子3分の2であったところ,本改正によって配偶者2分の1,子2分の1とされた。また,兄弟姉妹の代襲相続人の範囲を兄弟姉妹の子(被相続人の甥姪)までに限定することとした(889条2項)。さらに,寄与分制度(904条の2)が創設された。⑶ 平成11(1999)年改正(法律149号) 成年後見制度の導入に伴い,ノーマライゼーションの観点から,遺言制度の改正が行われた。具体的には,発話困難者・聴覚障害者が公正証書遺言を利用できるようにした(969条の2)ほか,関係する規定を整備した。⑷ 平成16(2004)年改正(法律147号) 民法第1編総則・第2編物権・第3編債権が文語体・カタカナ書・句読点無しであったものを,現代語化したことに伴う改正である。もっとも,第4編親族・第5編相続は,昭和22年改正(前出3)の時点で現代語化されていたため,平成16年改正では,字句の修正などの軽微な改正が行われたにすぎない。⑸ 平成25(2013)年改正(法律94号) 最大決平成25・9・4(民集67巻6号1320頁)が嫡出でない子の法定相続分を嫡出子の2分の1としていた900条4号ただし書前段を違憲と判断したことに伴う改正である(二宮周平「婚外子相続分差別を違憲とした最高裁大法廷決定を学ぶ」戸籍時報703号2頁,松原正明「最高裁平成25年9月4日大法廷決定」同号13頁)。 そして,この違憲決定とそれを受けた同条同号の改正が,平成30年改正の端緒となった(後出⑹)。⑹ 平成30(2018)年改正(法律72号) 平成30年改正は,昭和22年改正以来の大改正となった。以下では,主な改正項目を掲げる。⒜ 新設された制度 配偶者居住権(1028条以下),配偶者短期居住権(1037条以下),遺産分割前

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