逐条ガイド相続法―民法882条~1050条―
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〜5(相続開始の原因)第882条 相続は,死亡によって開始する。【逐条解説】第1章 総則╱第882条(相続開始の原因)総則882条885条《参照》旧民964条・992条の預貯金債権の行使(909条の2),特別の寄与(1050条)などが創設された。 また,民法の改正に併せて,「法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成30年法律73号)」が制定され,自筆証書遺言の保管制度が創設された。⒝ 改正された制度 相続分の指定(902条・902条の2),特別受益(903条),一部分割(907条),自筆証書遺言(968条),遺言執行(1007条以下),遺留分(1042条以下)といった制度が改正された。⑺ 令和3(2021)年改正(法律24号) いわゆる所有者不明土地問題・空き家問題を立法事実として,民法の物権編ならびに相続編,および,不動産登記法等の改正が行われた。相続編では,897条の2(相続財産の保存),904条の3(期間経過後の遺産の分割における相続分)が新設されたほか,遺産分割や相続財産の管理にかかわる諸規定の改正が行われた。Ⅰ 本条の趣旨 本条は,相続開始の原因が「死亡」のみであると規定する。Ⅱ 相続開始原因─死亡 旧民法964条は,家督相続開始の原因として,戸主の死亡,隠居,国籍喪失など複数の原因を定めていた。昭和22年法律222号による相続法の全面改正は,死亡以外の相続開始原因を廃止し,相続開始原因を死亡のみとした。換言すれば,被相続人の生存中の相続開始(生前相続)を一切否定したのである。 死亡の態様としては,自然死(心臓死)のほかに脳死(臓器の移植に関する法律6条),失踪宣告による死亡擬制(31条),遭難などを原因とする認定

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