逐条ガイド相続法―民法882条~1050条―
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(相続財産の清算人の選任)第952条 前条の場合には,家庭裁判所は,利害関係人又は検察官の請求に238相続人の不存在951条959条〜第6章 相続人の不存在╱第952条(相続財産の清算人の選任)《参照》旧民1052条《参照》旧民1052条。令和3年法律24号により改正。施行は令和5年4月1日遅滞なくこれを公告しなければならない。よって,相続財産の清算人を選任しなければならない。2 前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは,家庭裁判所は,遅滞なく,その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において,その期間は,6箇月を下ることができない。Ⅰ 本条の趣旨 本条は,相続財産管理人の選任および選任後の公告について規定する。Ⅱ 相続財産管理人の選任等 相続財産法人が成立した場合(951条),家庭裁判所は,利害関係人または検察官の請求により,相続財産の管理人を選任しなければならない。 本条にいう利害関係人とは,相続財産の帰属について法律上の利害関係を有する者であり,受遺者,相続債権者,相続債務者,相続債権者の担保権者,特別縁故者であると主張する者等をいう。地方公共団体も租税徴収や用地買収(昭和38・12・28家二163号回答・家月16巻2号138頁,法曹会決議昭和11・3・25法曹会雑誌14巻6号95頁)等の目的から利害関係人となり得る。利害関係人に国庫が含まれるか否かについては,本条の請求権者に検察官が規定されていることから,議論が対立している(新基本コメ相続166頁〔副田隆重〕,新注民⒆700~701頁〔常岡史子〕)。 家庭裁判所とは,相続開始地の家庭裁判所である(家事203条1号,家事規109条)。家庭裁判所は,必要に応じて管理人を選任すればよく,請求を却下することもできる。管理人となる者に資格制限はないが,公平の観点から相続財産に対して利害関係を有しない者を選任することとされており,裁判所の実務では,独自の人選による管理人候補者名簿が用いられる(新基本コメ相続167頁〔副田〕,新注民⒆701~702頁〔常岡〕)。

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