逐条ガイド相続法―民法882条~1050条―
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(不在者の財産の管理人に関する規定の準用)第953条 第27条から第29条までの規定は,前条第1項の相続財産の管理人(以下この章において単に「相続財産の管理人」という。)について準用する。239第6章 相続人の不存在╱第953条(不在者の財産の管理人に関する規定の準用)《参照》旧民1053条959条〜相続人の不存在951条 なお,家庭裁判所は,いつでも相続財産の管理人の改任をすることができる(家事208条,125条1項)。辞任については現行法上規定がないため,辞任しようとする者は家庭裁判所に対して改任権限の職権発動を求める手続をとることとなる。裁判所は選任取消しの審判をすることもできる(新注民⒆703~704頁〔常岡〕)。Ⅲ 公 告 家庭裁判所は,相続財産の管理人を選任した場合,公告しなければならない(家事規109条1項・同4条)。公告の趣旨は,利害関係人および相続権を有する者に対し,相続財産が法人化していることおよび当該法人を代表する者として管理人が選任されたことを公知させるとともに,相続人の捜索のための第1回目の公告である(新注民⒆699頁〔常岡〕)。Ⅲ 令和3年改正 令和3年改正では,相続人の存否不明の場合も含めて清算を目的としない相続財産保存のための相続財産管理人の選任が可能となった(改正後897条の2)。一方,本条で選任される者は相続財産の清算を行うことを職務とすることから,前記の相続財産管理人と区別するため,名称を「相続財産の清算人」と改めることとされた(日弁連269頁〔入江寛〕)。 また,本条2項の改正は,家庭裁判所が清算人の選任の公告と相続人捜索の公告(958条参照)を同時的に行うとするものである。これにより,公告手続の合理化と権利確定の期間の短縮を図る一方,相続人による権利主張の期間が短縮されることとなった(荒井196~197頁,生熊164頁)。

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