詐害行為
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第2節 改正法の下での理解第2節 改正法の下での理解6第2節 改正法の下での理解(注3) 法制審部会での審議の経過及びその変遷の内容については,『高須・詐害取消効果』7頁 1896年(明治29年)制定の民法債権法を抜本的に改正した改正法において,詐害行為取消権の規定は大幅に拡充された。法制審議会民法(債権関係)部会(以下「法制審部会」という。)における審議では,当初,債務者の責任財産の保全の趣旨をより徹底する方針であったが,その後,判例法理を明文化する規定を多数,設ける方向に改正方針は変遷している。(注3)詐害行為取消権の行使方法として,424条の6が債権者は債務者の行為の取消しと共に,受益者に移転した財産の債務者への返還を請求できると規定し,責任財産の保全が新しい詐害行為取消権の制度根拠として引き続き重要であることを前提とした上で,424条の9で動産,金銭の返還を求める場合には取消債権者の直接請求権を認める旨を明文化した。そのため,責任財産保全の趣旨は必ずしも徹底されず,曖昧となっている。 さらに,詐害行為取消権の要件に関して,424条の2から424条の5が新設され,倒産法上の否認権と同様の規定が設けられている。今回の詐害行為取消権の改正の大きな方針が,否認権との平仄を図ることであった。その結果,必ずしも典型的な責任財産の保全の趣旨に直結しない,偏頗行為的な債務者の行為についても詐害行為取消しが認められることが明文化されたのである。改正前民法においても判例法理において,このような責任財産の保全の趣旨に直結しない行為類型に関する詐害行為取消しは許容されていたが,倒産法上の否認権と基本的に同様の要件が定められたことは画期的であり,改正法における詐害行為取消権の制度根拠を改めて考えさせる契機となっている。以下。

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