詐害行為
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第2編 行為類型別第1章 財産減少行為103抗弁1受益者が行為当時,詐害の事実について善意であること(民424条1項ただし書)抗弁2取消債権者の債権が強制執行により実現できないものであること(自然債務や不執行の合意のある責任なき債務である場合。民424条4項)(補訂版)』(法曹会,2020年)22頁参照。⑶ 請求の原因1 原告は,Aに対し,令和2年10月1日,500万円を貸し付けた。2 Aは,令和3年4月1日当時,別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)を所有していた。3 Aは,被告に対し,同日,本件土地を贈与した。4 Aは,被告に対し,令和○年○月○日,本件土地につき,上記贈与に基づき,○○法務局令和○年○月○日受付第○○号の所有権移転登記手続をした。5 Aには,3の当時,本件土地以外にみるべき資産がなかった。6 Aは,上記贈与の際,これによって債権者を害することを知っていた。7 よって,原告は,被告に対し,詐害行為取消権に基づき,本件土地につき,上記贈与の取消しと上記所有権移転登記の抹消登記手続を求める。※ 詐害行為としての財産減少行為に関わる事実として上記2と3が必要となる。これに対し上記4は,詐害行為性そのものを基礎付ける事実ではないが,原告が所有権移転登記の抹消登記手続を求めるものであるので,その関係で原告が摘示する必要がある。2 転得者に対する請求(受益者から取得した場合)【想定例18】⑷ 抗 弁 一般的に想定される抗弁事由については,第1編第2章第2節第2に記載したとおりである。以下のものとなる。 債務者返還型の詐害行為取消訴訟の訴訟物,請求の趣旨,要件事実的理解の基本は,第1編第3章第2節第1及び第2記載のとおりである。以下のような例を想定した場合,具体的には次のような内容となる。 Aが所有していた土地を,令和3年4月1日,Bに対し贈与し,その第3 要件事実的理解と訴状記載例

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