詐害行為
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【想定例19】第1節 不動産譲渡行為1061 原告は,Aに対し,令和2年10月1日,500万円を貸し付けた。2 Aは,令和3年4月1日当時,別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)を所有していた。3 Aは,Bに対し,同日,本件土地を贈与した。4 Aは,Bに対し,令和○年○月○日,本件土地につき,上記贈与に基づき,所有権移転登記手続をした。5 Bは,Cに対し,令和3年8月1日,本件土地を代金3000万円で売却した。6 Bは,Cに対し,令和○年○月○日,本件土地につき,上記売買に基づき,所有権移転登記手続をした。7 Cは,被告に対し,令和3年12月1日,本件土地を代金3200万円で売却した。8 Cは,被告に対し,令和○年○月○日,本件土地につき,上記売買に基づき,所有権移転登記手続をした。9 Aには,3の当時,本件土地以外にみるべき資産がなかった。10 Aは,上記贈与の際,これによって債権者を害することを知っていた。11 C及び被告は,上記5及び7の各売買の際,上記贈与によって債権者を害することを知っていた。12 よって,原告は,被告に対し,詐害行為取消権に基づき,本件土地につき,上記贈与の取消しと真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続をすることを求める。検討する。 Aが所有していた土地を,令和3年4月1日,Bに対し贈与し,その旨の所有権移転登記がなされた。その後,令和3年8月1日,この土地はさらにBからCに時価相当額である3000万円で売却され,さらに,令和3年12月1日,CからDに3200万円で売却された。BからC,CからDへの所有権移転登記手続もそれぞれ完了している。令和2年10月1日にAに対し500万円を貸し付け,未だ返済を受けていない債権者Eは,AB間の贈与によってAが無資力になったとして,自らを原告,Dを被告として詐害行為取消訴訟を提起した。⑴ 請求の原因

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