Q&Aでマスターする民法・不動産登記法改正と司法書士実務
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解 説第1部 総 説  5     このたびの民法・不動産登記法の改正が前提としている所有者不明土地の定義は,「不動産登記簿により所有者が直ちに判明せず,又は判明しても連絡がつかない土地」である。また,所有者不明土地問題対策として制定された他の法律は,それぞれの立法目的に合わせて独自の定義規定を設けている。⑴ 公的機関等による所有者不明土地の定義付け これまでに公的機関あるいはそれに準ずる団体等から示された所有者不明土地の定義の中で最広義のものと思われるのは,平成31年2月の「国土審議会土地政策分科会特別部会とりまとめ」(以下「とりまとめ」という。)における『不動産登記簿などの公簿情報等を参照しても所有者の全部又は一部が直ちに判明せず,又は判明しても所有者に連絡がつかない土地』である。これに対して,同年同月に登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会が公表した「登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究報告書~所有者不明土地問題の解決に向けて~」では,『不動産登記簿により所有者が直ちに判明せず,又は判明しても連絡がつかない土地』という定義が採用されており,Q1で紹介した法務大臣の諮問第107号(以下「諮問」という。)もこれを踏襲している。前記「とりまとめ」とほぼ同じ表現であるが,所有者が判明しているか否かを判断するための資料を不動産登記簿に限定している点で異なっている。このたびの民法・不動産登記法の改正はこの「諮問」の定義付けを前提としているため,本書では,特に断り書きがない限り,所有者不明土地を『不動産登記簿により所有者が直ちに判明せず,又は判明しても連絡がつかない土地』という意味で用いている。Q 所有者不明土地の定義Q2 「所有者不明土地」とは何か。

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