Q&Aでマスターする民法・不動産登記法改正と司法書士実務
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第1部 総 説  7号) この法律により新設された農業経営基盤強化促進法第21条の2第1項では,共有者のうち2分の1以上の共有持分を有する者を確知することができないものを「共有者不明農用地等」とし,当該共有者を「不確知共有者」としている。単独所有の土地や共有者全員が不確知である土地が除外されているところに特色がある。これは,同法が農業経営の改善を計画的に進めようとする農業者に対する農用地の利用の集積など農業経営基盤の強化を促進するための措置を総合的に講ずることにより,農業の健全な発展に寄与することを目的としていること(農業経営基盤強化促進法第1条)と関係があるものと解される。つまり,平成30年の改正は農地の集積・集約化に必要な不確知共有者の同意を得たものとみなすことができる制度などを導入したものであるが,単独所有の農地が所有者不明土地となっている場合や共有者全員が不確知である場合には,その大半はいわゆる耕作放棄地であり,「農用地の利用の集積」の対象としてふさわしくないということであろう。概念を定めている。表題部所有者不明土地適正化法第2条第1項によれば,「表題部所有者不明土地」とは,所有権(その共有持分を含む。)の登記がない一筆の土地のうち,表題部に所有者の氏名又は名称及び住所の全部又は一部が登記されていないもの(国,地方公共団体その他法務省令で定める者が所有していることが登記記録上明らかであるものを除く。)とされている。ウ 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律(平成30年法律第23エ 森林経営管理法(平成30年法律第35号) この法律は,「共有者不明森林」と「所有者不明森林」について各別に定義付けをしている。「共有者不明森林」とは,数人の共有に属する森林であってその森林所有者の一部を確知することができないものであり,その森林所有者の一部であって相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により確知することができないものを「不明森林共有者」という(森林経営管理法第10条)。「所有者不明森林」とは,

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