⑴ 改正理由ア 隣地の使用請求権から使用権への変更 改正前の民法第209条第1項では「隣地の使用を請求することができる。」と規定されていたが,改正により「隣地を使用することができる。」と改められた。これは,改正前の規律が土地の利用を阻害する要因となっていたためである。すなわち,工事のために隣地を使用する必要のある者は,隣地所有者を探索した上で,その承諾を得る必要があり,それが得られない場合や隣地所有者の所在等が不明である場合には,承諾に代わる判決(令和元年改正民事執行法第177条)を得なければならないため,相当の時間や労力を費やすこととなっていた。そこで,新たな要件(隣地所有者等の損害最少化義務・隣地所有者等への通知義務)を設けることにより承諾を要しないこととした。イ 隣地の使用目的の拡張 改正前から隣地の使用目的として認められていた境界又はその付近における障壁又は建物の築造・修繕だけでは土地利用の促進を図る観点からは不十分であることから,類型的に隣地を使用する必要性が高いと考えられる以下の目的のために,隣地を使用することができるものとした(中間試案補足説明第1部第3─1補足説明1)。最も少ないものを選ばなければならない。3 第1項の規定により隣地を使用する者は,あらかじめ,その目的,日時,場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならない。ただし,あらかじめ通知することが困難なときは,使用を開始した後,遅滞なく,通知することをもって足りる。4 第1項の場合において,隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは,その償金を請求することができる。44 第2部 民 法(新設)2 前項の場合において,隣人が損害を受けたときは,その償金を請求することができる。
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