新しい公用文作成ガイドブック
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1章 新しいルールの登場3 1952年に「公用文作成の要領」が出されてから70年が過ぎ,時代は大きく変わっている。使ってもいい漢字の範囲,仮名遣いや用語の選択といった形式重視の発想がこれまでは強かったのだが,これからは内容重視で,文章のわかりやすさが大事なキーワードとなる。2022年に「公用文作成の考え方」が提案され,公用文作成は新しい時代に突入することになる。 1952年の「公用文作成の要領」(以後,「旧要領」という)は全体の半分以上を用字用語が占めているため,公用文とは,漢字制限,仮名遣い,用語選択の問題であると一般に受けとめられてきた面がある。さらに,1973年以降「公用文と法令における表記の一体化」の原則がうたわれると,書き手は表記の面で法令を意識するようになった。つまり,用字用語の中でも,用字への注目が高まることになった。 このことを顕著に表しているのが,市販されている公用文ハンドブックの類である。ほとんどの書籍が,半分以上を常用漢字のリストで占めており,残りのページに必ず法令文の漢字(「明渡し,受入れ」などの送り仮名を省いた漢字使用)の解説が載っている。まさに,形式重視の発想が戦後脈々と続いてきたことがわかる。2021年に出された「新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)」1)ではこの点を認めており,「現行の要領で主な対象となっているのは表記や用語の問題である。」(2頁)と述べている。この報告が基になって翌年,「公用文作成の考え方」が公開されることになる。 実は旧要領をよく読むと,形式重視だけではない側面があるとわかる。これまでのルール11章 新しいルールの登場

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