新しい公用文作成ガイドブック
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11章 わかりやすさのメリット51 この章では,一般向け公用文をわかりやすく書くことのメリットは何かを考えたい。市民にとってのメリット,行政にとってのメリット,職員にとってのメリットと様々な立場から考えていく。 わかりやすい公用文の市民にとってのメリットは,情報を簡単に得ることができる点である。難解な公用文を理解できなかった人にも情報が伝わることで,市民は各種サービスにアクセスが可能になる。健康診断を例にすると,無料で健康診断を受けられるという情報を自治体が発信しても,それを知らない人は受けられない。市民がその情報を得ることで健康診断を受けて,病気を未然に防げたとしたらそのメリットは非常に大きい。 10章で紹介したように,国民の4割強は公用文を読まないと回答している。読まない理由は人それぞれであろうが,あるプロ野球選手は,役所からの手紙がよくわからないので,すべて読まずに箱にしまっていたと発言している。公用文は読みにくいから読まないという人が一定数はいるであろう。 また,社会には情報にアクセスしにくい人が一定数いる。これは外国人だけの問題ではない。ある言語を母語としてその言語で教育を受けた人にも書き言葉に慣れていない人がいる。そういった対象への発信において,わかりやすくすることで情報が届く可能性が高まる。こういった問題を考える際に重要な概念がSDGsである。包摂性(誰一人取り残さない)を理念の一つとしているSDGsは「やさしい日本語」と共鳴する。SDGsの17のゴールのうち,「3 すべての人に健康と福祉を」,「4 質市民のメリット:情報にアクセスしやすくなる1111章 わかりやすさのメリット

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