新しい公用文作成ガイドブック
26/46

第2部 わかりやすく文章を書くために52の高い教育をみんなに」あたりは自治体の情報発信と関わってくる。一般向け公用文は圧倒的に,健康,福祉,教育関係のものが多いからである。わかりやすい情報発信は,誰も取り残さない社会という大きなビジョンにつながる。 行政にとってのメリットは,情報が広く普及することにある。わかりやすく提示した方が情報は拡散する。公用文を発行するのは,伝えたい情報があるからであり,それがたくさんの人に伝わることは当然重要である。自宅周りのリフォーム補助はどの自治体でも各種あるが「いい制度なのに応募が少ない」なんていう話はよくある。情報自体が伝わっていないとしたら,当然応募は多くなり得ない。また,ワクチンのように,市民に打ってもらって社会全体で病気を封じ込めるという行政課題がある場合,ワクチン接種に関する情報が広く行き渡ることが大前提となる。そういった情報をわかりやすく伝えて社会に広げることは行政側にとって大きなメリットがある。 わかりやすい情報提示は,受け手に理解されて広がる。数百万部の売り上げを誇る『五体不満足』や『少年H』が振り仮名付きの読みやすい文体で書かれていることは,読みやすさが多くの読者を獲得する証左であろう。また,情報の普及という点で大成功しているのが,前述のSDGsである。SDGsは,その文言自体を平易な言葉(plain language)で伝えることを理念としており,非常にわかりやすい。広範囲にわたる活動目標を,17のゴールと169のターゲットに整理して伝えている。またカラフルなアイコンを使って,人々の関心をひく工夫をしている。結果としてSDGsは,今や多くの人の知るところとなっている。行政のメリット:伝えたい情報が広く普及する

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る