新しい公用文作成ガイドブック
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12章 難解さの犯人探し:単語⇒文⇒文章構造A コーパス及び電子資料を形態素解析器によって機械的に分解するという技術の進歩により日本語の研究は新段階への突入を果たしたと言われており,一昔前手書きで例文を集めていた世代には想像もできなかったコンピューターによるツールを開発してくださった方がたに感謝をしながら,私は専門として研究活動に没頭している日々である。55 公用文が難解になる原因はどこにあるのか。公用文改革の流れを振り返ると,単語レベルで難解さの犯人探しをしてきた。ところが,単語だけではなくもう少し大きい単位,文レベルでも難解な公用文の原因は提示できる。さらに,文より大きいレベル,文章構造全体の問題も考えなければならない。 公用文改革の歴史において,単語レベルの難解さを原因として扱ってきた(2章参照)。単語レベルでは規制をかけやすい。用語集などを出している例が典型であるが,リストとして提示して関係者に対応を促すことが可能である。「バックオフィス」を「事務管理部門」に置き替えましょう,といった具体的な提案を示すことができ,メディアにも取り上げられやすい。 一方で,難解な単語を使わないだけでは文章はわかりやすくならない。難解な文章の原因を具体的に分析するにあたり,以下のA・Bの文章を比較してみたい。A・Bは架空の専門家が言語研究の現状に関してコメントしたもので,同じような内容を伝えているが,Bのほうが読みやすいのではないだろうか。単語か文か1212章 難解さの犯人探し:単語⇒文⇒文章構造

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