新しい公用文作成ガイドブック
30/46

第2部 わかりやすく文章を書くために56 文章Bでは,「形態素解析とは,」から始まる定義の文,「コーパス(電子化された大規模な言語資料)」にあるような解説の追加が見られる。このような定義や解説を適宜行うことで,専門用語が難解であるという読み手の印象を薄めることができる。文章Aにはそれがない。 専門的な言葉を使用せざるを得ないときでも,定義や解説をつければ読み手は理解できる(詳細は7章参照)。なんとかして伝えたいという姿勢が見えれば,専門用語を使っても批判されることはない。 文章Aには,たくさんの連体修飾(名詞を説明する部分が直前に来る形式)が用いられている。具体的には「コーパス及び電子資料を形態素解析器によって機械的に分解する」が「技術」を連体修飾している。また,「ツール」には複雑な連体修飾がかかっており,非常に読みにくくなっている。文章Bはそういった連体修飾を極力使わない構造を取っている。長い連体修飾がつくと文章は読みにくくなる。英文読解で関係代名詞が出てくると文章が長くなり理解が難しくなるのと同じである。B 私の専門は日本語の研究だ。形態素解析の技術を活用している。形態素解析とは,コーパス(電子化した大規模な言語資料)をコンピューターで名詞や動詞に分解することだ。これをコンピューター上で行うツールを形態素解析器と呼ぶ。この形態素解析の技術が進んだ結果,日本語の研究は新しい段階に入った。開発に関わってくださった研究者には感謝している。定義や解説をつける連体修飾を避ける

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る