新しい公用文作成ガイドブック
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専門用語には定義や解説をつけること連体修飾を避けるなどの工夫で,一文の長さを考慮すること名詞化はなるべく控えること受動文・使役文より能動文を使うこと図表24 文レベルのルール第2部 わかりやすく文章を書くためにについて─」(京都語文28号23~37頁,2020)58 名詞化は文章を硬くする効果があるため,硬い文章を好むアカデミックライティングでは意図的に名詞化することが推奨される。しかし,一般向け公用文などで,わざわざ硬く書く必要はない。名詞化はどの言語にも当てはまる普遍的なルールであるが,日本語は名詞化をすると漢語が増えるため一層硬さが増すことになる。 ここまで文レベルでの注意点を紹介してきた。他にもルールはあり,受動文や使役文を避けて能動文を使うこと(例「職員を説明に行かせる→職員が説明に行く」,「資金は政府によって支給される→資金は政府が支給する」)などは,言語を問わずシンプルな伝え方であるとされている。 こういった文レベルのルールも大事であるが,実は文章構造全体が関わる問題もある。つまり,文レベルよりももっと大きな単位で文章を見ていく必要がある。 難解な文章構造を考えるにあたって,公用文のジャンルを見渡す必要がある。公用文のジャンルについて13章で概観・分類し,文章が難解になるパターンを14章で扱い,それらの原因を15章で分析する。最終的に16章で解決案を提示したい。参考資料1)Cutts, Martin“Oxford Guide to Plain English” Oxford University Press(2013)2)岩田一成「文章の難易度測定方法に関する研究─「やさにちチェッカー」の「硬さ」文から文章構造へ

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