解 説高齢者からの相談は必ずしも具体的でなく、法律問題とさえいえないときもあります。ただし、わざわざ足を運ばれるからには問題や悩みごとを抱えておられるかもしれません。丁寧に事情を伺ってください。もっとも、漫然と話を聞いているだけでは時間を浪費しますので、問題を予想しながら的確に質問する必要があります。32相談例1高齢者からの事件性のない相談相談者(78歳女性)から、「夫が他界してから、長男一家と同居している。今のところ生活に支障はないが、終活や相続についての記事などを見て、先のことが心配になった」と相談された。対応のポイント1 問診2〜3分話を聞いて、相談者の話が要領を得ない場合には、こちらから基本的事項を確認します。第一に、家族関係の確認です。配偶者の有無、配偶者がいないなら未婚・離別・死別のいずれか、子は何人か、誰と同居しているか、誰か亡くなった方がおられるのか、などです。これによって親族関係を把握します。第二に、生活環境についても確認します。どのような住居に住んでいるのか(所有か賃貸か)、生活費の収支、蓄えの額や、預貯金の管理者などです。初対面でお金に関することは尋ねにくいでしょうが、ある程度は伺っておくべきでしょう。第三に、相談者の健康状態を確認します。年齢、持病、入通院歴、介護認定などについて情報を仕入れます(なお、認知症の方が一人で相談に来られることはまずありません)。健康に関する話題は、距離を縮める潤滑油になってくれることもあります。健康面で特に問題がなければ、介護認定や財産管理などは、一応、喫緊の問題ではないと判断します。第四に、日常生活のタイムスケジュールについて伺います。1日の過ごし方がわかれば、相談者の生活ぶりを想像できます。第2編終活に関する相談
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