最後に、相談に来られたきっかけ(イベント)を確認します。これによって、相談者の抱える問題が明らかになるはずです。2 同居家族との関係問診によって、相談者がどのような悩みごとを抱えているのか、また、相談者が気づいていなくても、この先どのような問題が起きる可能性があるのかを考えます。ちなみに、相談例では、同居の家族がいるのに、なぜ一人で法律相談に来られたのかが気になります。「生活に支障がない」と話していますが、まったく問題がないなら相談に来ないでしょう。とすると、家族との関係で悩んでおられるのかもしれません。まず、相談者と長男家族との仲がうまくいっているなら、長男家族に迷惑をかけないように終活しておきたいという相談が予想できます。長男や嫁に迷惑をかけたくないから来てみた、介護が必要になったらどうしよう、遺言は必要なのかといった相談です。つぎに、長男家族との折り合いに問題があって、そっと一人で相談に来られたのかもしれません。相談内容としては、長男夫婦が冷たい、恩着せがましい、嫁には財産を渡したくない、長男夫婦の孫に対する教育がなっていないというような不満が予想できます。もっとも、この場合は、話し相手を求めて相談に来られただけかもしれません。3 遺言・相続の相談長男以外に次男や三男といった推定相続人がいる場合には、長男と次男の仲が悪いが何とかできないものか、次男にもそれなりのものを残してやりたいといった相談が予想され、遺言や相続が問題になる可能性が出てきます。一般に、複数の子があり、そのうちの一人と相談者が同居している場合は、同居の子と非同居の子の間で相続紛争が起こる確率は高くなります。というのも、同居の子は親の面倒をみているという意識を強く持っているのに対して、非同居の子は同居の子が親との同居で楽をしていると考えがちだからです。そして、同居の子と非同居の子が次第に疎遠になり、ささいな出来事にそれぞれの配偶者も加わってひと悶着起きると、兄弟姉妹でも、容易に縁を切った状態になります。したがって、その兆候があるときや、すでにそうなってしまっている場合、親としてはいたたまれず、一人で相談に来られることがあります。そうして、兄弟姉妹の仲をどのように取り持てばいいのかという相談なら、法律知識以外の知恵を絞るしかありませんが、他界後のことを心配されているのなら、相談例1 高齢者からの事件性のない相談33
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