3 第3編では遺言に関する相談例を、第4編では相続に関する相談例を挙げて説明を加えました。本書は法律の解説書ではありませんが、若手弁護士が嵌りやすいいくつかの陥穽については、紙幅を割いて平易に説明しました。なお、第2編乃至第4編の相談例の解説では、「対応のポイント」と「三行要約」を掲げ、短時間でエッセンスを理解いただけるように工夫しています。4 第5編では、高齢者を取り巻く環境や終活ビジネスを鳥瞰し、概説しました。弁護士に求められる知見は広大無辺です。「弁護士は法律(裁判)のことしかわからない」と揶揄されないように、この機会を利用して、裾野を広げていただきたいと願います。5 公的な法律相談はたった30分程度の人生劇場であり、弁護士にとっては真剣勝負の場です。その時間を有効に遣い、適切な処方箋を差し上げ、相談者との信頼関係を形成するのは至難です。そこで、そのための触媒になるかもしれないと考え、本書では脚注を駆使して、豆知識、蘊蓄、医学知識、統計を盛り込みました。本書の性格上、言葉が走りすぎた感はありますが、ご批判いただければ幸いです。6 最後に、本書は令和3年民法等改正までは対応しましたが、もとより完全ではありません。そのようなものと理解いただいたうえでご利用いただければと存じます。令和3年10月iiなど)についての相談例を挙げて説明しました。これらは必ずしも法律的な相談ではありませんが、相談者からすれば切実な問題で、法律相談でも避けて通れません。相談者との信頼関係を構築するためにも、できるかぎり多くの抽斗を用意していただきたいところです。弁護士 藤 井 薫
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