3 本書は,出入国管理及び難民認定法(入管法)を中心とする入管法制の解説を行うものである。 入管法制は出入国管理,難民認定に係る法制度であり,入管行政の主たる対象は,外国人である。外国人が我が国に入国し,在留するためには,原則として,入管法の規定に基づく許可を受けることが必要である。入管法に基づく外国人の入国・在留管理の仕組みは,退去強制など利益はく奪型の不利益処分をも伴う仕組みであることから,行政手続法が制定されるはるか以前から,事前行政手続が整備されてきた。 どのような外国人を迎え入れ,どのような外国人を国外退去させるかは,時として政治的判断を伴い,またそれぞれの外国人の個別・具体的な事情により左右されるので,統一的基準・規範を定めることは困難である。このため,実体法的な規範を詳細に定めるよりは,手続的な保障を十分に図る仕組みが定められた。外国人に弁明の機会を十分に与えることなく上陸拒否や国外退去がなされることのないよう不服申立ての手続が整備されるとともに,権限を一人に集中することなく,複数の官職を有する者が,手続の各段階においてそれぞれ固有の権限をもって関与するという仕組みとされた。 入管法制における代表的な手続は,上陸手続と退去強制手続であるが,このうち退去強制手続を例にとっても,収容令書は主任審査官が発付し,退去強制事由該当の認定は入国審査官が行い,口頭審理を経ての判定は特別審理官が行い,法務大臣は異議の申出に対する裁決を行う権限を有する。処分権限を一括して保有する大臣の下で,補助機関たる職員がその運用を行うというような大陸法的な仕組みにはなっていない。 また,退去強制の実体的要件である退去強制事由は入管法に定められてい初版 はしがき初版 はしがき
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