5に当該外国人の意見を聴取させなければならないこととされている。 ところで,入管法は,もともとは,我が国を訪れる外国人の数が限定されており,例外的存在であることを前提として,その入国と出国の二つのポイントを押さえることに重点を置いてきた。このため,出入国の管理について,制定当初の入管法は,上陸と退去強制を中心として定めていた。しかしながら,我が国の経済的発展と国際間の様々な面での交流の活発化,企業活動の国際化・グローバル化及び国際間の運送手段の変化等様々な要因により来日する外国人の数が飛躍的に増大するとともに,長期間にわたって滞在する外国人も急速に増大した。今日,我が国には,200万人程度の外国人が継続的に滞在している。 このような変化に対応して,上陸手続や退去強制手続の効率化が図られ,在留資格の取消手続が整備されたが,平成21年には,外国人の在留に関する制度が大幅に改正され,入管法に「中長期在留者」にかかる款(4章1節2款)が新たに設けられた。入管法制は,入国,出国の管理とともに,入国し,我が国に一定期間継続的に滞在しつつ,出国・再入国を繰り返すというような外国人の在留の管理にも重点を置くに至っている。しかも,そこでの「在留の管理」は,外国人が,我が国の地域社会において生活する住民として適正に権利を享有し義務を履行することの確保を含めた,外国人の適正な在留の確保という観点からの広義の「在留の管理」でなければならない。 このため,平成21年の改正では,いわゆる新しい在留管理制度が構築され,在留外国人の在留状況の把握や適正な在留の確保のための規定が入管法に多く設けられるとともに,この入管法の改正と併せて,外国人登録法の廃止と住民基本台帳法の改正が行われ,中長期在留者等の外国人は,住民基本台帳制度の適用を受け,日本社会に継続的に居住する住民として位置づけられることとなった。教育,社会保障など社会の諸々の分野において,今後,外国人を日本人と同様に遇し,日本社会の中に受け入れていく仕組みの構築が進初版 はしがき
元のページ ../index.html#9