競業避止
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第2■従業員の違反に対する請求Commentary解説 1 懲戒処分の可否 在職中の従業員が競業行為をしていることが判明した場合,損害賠償請求以外に,どのような処分をすることができるか。     懲戒処分をすることが考えられる。懲戒処分をする場合には,無A また,退職金を不支給としたり,減額したりすることができる。効にならないかどうかを慎重に検討する必要がある。⑴ 懲戒処分の根拠規定 労働契約法15条は,「使用者が労働者を懲戒することができる場合において,当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,当該懲戒は,無効とする。」と規定している。 使用者が懲戒処分をするためには,①就業規則等に懲戒処分の根拠規定が存在し,該当すること,②処分が相当であること,③手続が相当であることを要する。 そもそも,懲戒処分の根拠規定が存在しなければ,仮に競業行為があったとしても,懲戒処分する余地がないということを理解する必要がある。⑵ 懲戒処分における確認事項ア 懲戒処分を行うにあたっては,新たに設けた規定を以前の行為に適用することはできないこと(不遡及の禁止),過去に懲戒の対象になった行為について再度懲戒の対象にしてはならないこと(二重処分の禁止)にも第1節 在職中・在任中の競業避止義務 ╱ Q82108

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