競業避止
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第1章 競業避止義務 使用者の取引先となりうるような関係先から個人受注案件を受注・処理し,報酬を得ていたこととなり,これは使用者に不利益をもたらすような行為であるから,損害賠償を認めた。 なお,損害額については,民事訴訟法248条に基づき,裁判所が相当な損害額を認定している。 被控訴人の塾生65人のうち43名が退塾をし,翌日から,控訴人の塾(800メートルしか離れていない。)に37名が入塾していること等を理由に,勧誘行為があったことを認定している。10会社が使用者の協力会社であるかのように装って競業会社に発注させたり,上司に競業会社がより安い価格で顧客と契約する可能性があることを報告しなかった行為であるから,雇用契約上の忠実義務に違反する行為であるとともに,原告の営業上の利益を侵害する違法な行為であるというべきである。」⑵ 東京地判平30・9・7ウエストロー 「原告在職中,原告ドメインのメールアドレスを用い,原告の従業員であることを示して,関係先に取引の勧誘を行うなどしながら,そのような関係先から,原告の事業と同業であるCG制作等を個人として受注し,勤務時間中及び勤務時間外に原告リソースをも使用してそれら個人受注案件を処理し,報酬を得ていたことが認められる。」と判示した。⑶ 広島高判平26・4・16判時2230号36頁 「Y1は被控訴人の時間講師として被控訴人a校において勤務し,控訴人Y2は,被控訴人の関連会社の派遣社員として被控訴人a校の校責任者の地位にあったものであるから,控訴人らが,上記期間中に被控訴人と競合する新しい塾の設立ないし設立準備行為を行うことは,不法行為上の故意に基づく違法行為に当たり,その結果として,被控訴人の塾生が退塾し,被控訴人が損害を被った場合,控訴人らは被控訴人に対し,不法行為責任を負うというべき」

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