競業避止
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2 損害賠償を認めなかった裁判例 退職日以前に,被告会社の取締役に就任して被告会社の営業行為に関与した行為を競業避止義務違反として認定した。第1節 在職中・在任中の競業避止義務 ╱ Q511⑷ 長谷工ライブネット事件(東京地判平23・6・15労判1034号29頁)就業規則  「社命または許可なくして直接間接を問わず,他の会社の役員もしくは使用人となり,または会社およびその他関係会社の利益に反する業務に従事しないこと。」⑴ 東京地判平26・9・25ウエストロー 「原告に退職願を提出した前後の頃から,原告との間で不動産賃貸管理委託契約を締結していたオーナーらに対し,退職の挨拶を行っているところ,当該行為は,被告Y2が懇意にしていたオーナーらに対し,退職の予定やこれまでの礼を述べるというものであるから,儀礼的なものにすぎないと解される。確かに,被告Y2は,一部のオーナーに対しては,今後の予定として仲間が立ち上げた被告会社に合流する可能性がある旨を述べているが,被告Y2がこのような発言に及んだのは,当該オーナーから今後も被告Y2に物件管理を依頼したいとの要望を受けたためであると解されるから,これをもって積極的に被告会社への契約切替えの働きかけを行ったということはできない。その他,被告Y2が原告を退職した平成24年2月2日までの間に原告の顧客に対して積極的に被告会社への契約切替えの働きかけを行ったことを認めるに足りる証拠はない。したがって,被告Y2の退職前の行為について,原告に対する競業避止義務違反があると認めることはできない。」⑵ 東京地判平26・3・19ウエストロー 「被告が,原告に在籍中,自らが担当する顧客ら数名との間で連絡先を交換した上,原告を退職後に,上記顧客らに対して,新たな勤務先の美容室の連絡先を教えるなどしたことは当事者間に争いがない。 ところで,理美容業界においては,店舗ではなく,理美容の担当理美 

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