はしがきには参考となる情報でもあるともいえる。それらを踏まえ,第2編では土地に関する現状変更や利用等について行政法による土地の規制を取り上げ,第3編では,土地の権利に関する制限を取り上げた。たとえ,自己が所有する土地であったとしても,法令上の規制が働けば,その規制に違反して利用したり,譲渡等することができない場合もあるのである。土地に関する実務においては,民法,不動産登記法の知識と適用が欠かせないことはいうまでもないが,実社会においては,それらと同等以上に,土地の規制に関する各種行政法令等の知識の活用も求められていると考えるのである。 本書では,土地の属性,特性等ごとに,農地法,都市計画法,森林法,建築基準法など法令の適用を検討した。これら土地に関する法令は,土地基本法に収斂し,土地についての公共の福祉優先,適正な利用及び管理等,円滑な取引等の基本理念のもとに,土地法制の枠組みとして機能し,そのうえで,登記手続その他の権利関係の明確化のための措置及び所有権の境界の明確化のための措置に関して土地所有者等に責務が課せられることで,我が国の土地法制の骨組みとなっているものである。 今後,司法書士,土地家屋調査士は,土地に関する権利の手続の代理人としての役割とともに,土地に関する責務の支援者としての役割をも担っていくことが期待されているのではないだろうか。いずれにせよ,土地に関わる多くの専門職は土地に関する法制度を広く理解する必要があり,本書が,その手伝いとなることができれば,筆者として望外の喜びである。 最後に,本書に対して「推薦のことば」を寄せてくださいました,日本土地家屋調査士会連合会岡田潤一郎会長,日本司法書士会連合会小澤吉徳会長には,心から感謝を申し上げ,出版に向けてご尽力いただいた日本加除出版株式会社の佐伯寧紀氏に,お礼を申し上げる。 令和5年9月vi末 光 祐 一
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