離契
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92第4 その他 例えば,福岡家庭裁判所(本庁家事部)において,養育費の不払い解消に向けた取組の一環として,令和5年1月より,当事者双方が自動送金サービスを利用することに合意した場合,調停条項に自動送金サービスに関する条項を記載する運用が始まっています。 特に権利者としては,将来の養育費の支払がきちんと履行されるか不安に感じる人も多いと思われます。自動送金サービスを利用すれば,送金元の口座に残金がある限りにおいて,養育費の支払が自動でされますので,手動送金の場合に発生し得る送金のし忘れを防止する効果が期待できます。権利者側として,義務者が手動送金をしなくなったり,忘れたりする可能性を懸念するのであれば,自動送金サービスを積極的に利用すべきでしょう。一方,義務者側にとっても,養育費の支払を失念してしまうことを防ぐことや,養育費の送金手続の手間を省略するというメリットも存在します。 なお,養育費の金額が変更された場合や,養育費の支払義務が終了した場合など,送金金額の変更や送金の必要がなくなった場合には,義務者の側で,忘れずに自動送金サービスの利用内容の変更や停止をする必要がありますので,注意が必要です。また,各金融機関によって,手数料や利用可能期間などの条件が異なりますので,本合意締結前に,「自動送金サービス」を利用する金融機関の利用案内等を確認すべきでしょう。

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