離契
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iiはしがきというメリットがある。 また,離婚協議書の条項例集は社会的なニーズも極めて大きい。現在,日本では年間19万3000組が離婚している(令和2年の離婚件数。厚生労働省「令和4年度 離婚に関する統計の概況」)。これに対して,調停離婚の申立て件数は年間4万件にも満たない(令和3年の離婚調停申立件数。令和3年司法統計「家事調停事件の新受事件数の推移」)。つまり,日本では大多数の夫婦が調停を経ることなく協議で離婚を成立させている。離婚協議書を作成する際に,適切な条項を使用しなければ,紛争を解決できず将来に禍根を残すだろう。 弊所には離婚事件に注力する弁護士で構成される離婚事件部があり,10年以上にわたり,膨大な数の離婚紛争を解決してきた実績がある。チーム内では離婚問題に関するノウハウを共有し,研究してきた。そのような中,協議段階を前提とした離婚等男女問題に関する条項例集について,書籍発刊の企画をいただき,この度,出版を決意した。 本書の執筆にあたっては,次の3点を基本的なスタンスとした。① 法律実務家が実際に直面する可能性がある事象を前提とした条項例を掲載する 離婚問題と一口に言ってもその状況は千差万別である。実際に離婚事件の依頼を受ける弁護士等の法律実務家が実際に扱う可能性があるケースを念頭において,条項例を掲載することとした。② 専門弁護士として記載のポイントを付加する 単に条項例を紹介するだけではなく,当該状況に対して,当事務所の離婚弁護士であれば,どのように考えて条項例を作成するかを紹介することとした。③ 離婚や男女問題を広くカバーする 実務家にとってニーズが高い事象を前提としつつも,本書の対象とする領域はとても広い。親権,養育費,面会交流,財産分与,慰謝料,年金分割,婚姻費用といった離婚の諸条件に係る条項例のほか,婚前契約(夫婦財産契約・婚約解消),婚姻契約(別居合意,パートナーシップ契約),内縁の解消などの事案で用いる条項例も掲載した。さらに,参考として,

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