事例でわかる 生前贈与の税務と法務
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6第1章 こうなった‼相続と贈与のかは簡単に確認することができる。(3) 共同相続における均分相続 民法は,同じ順位の血族相続人同士の相続割合は原則として同じである「均分相続」をとっている。例えば,第1順位の血族相続人である子が相続人である場合,子の法定相続分割合は同じである。つまり,被相続人に配偶者がなく3人の子があり,そのうちの1人を後継者とする場合でも,後継者の相続分は他の2人の子と全く同じで各自3分の1の相続分ということになってしまうことになる。これは子が嫡出子であるか非嫡出子であるかを問わない。なお,非嫡出子の相続分に関する変更についてはケース3参照。 被相続人の遺産の大半が先祖代々の不動産や非上場会社の株式である場合,承継をスムーズに進めるためには,後継者がそれらを全部相続することが望ましいが,3人の子は各自が遺産の3分の1の権利を持っているということになり,後継者が事業等を承継できるだけの遺産を取得することが困難となる。これが,民法の相続法の規定が必ずしも承継には適していないといわれる理由の1つであり,承継の計画を立てる際には,まず具体的な承継計画に沿って,民法の法定相続の内容を遺言や生前贈与等で実質的に修正することを考える必要があろう。 相続税は,相続や遺贈等により取得した財産の価額の合計等から基礎控除額を控除した課税遺産総額を法定相続人が法定相続したとして,相続税の総額を計算し按分して課税される。(2) 一親等の血族以外の取得には2割加算の適用 なお,相続,遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が,被相続人の一親等の血族(代襲して相続人となった孫等を含む。)及び配偶者以外の人である場合には,その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算される。解説1 税務上のポイント(1) 相続税の計算のポイント

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