事例でわかる 生前贈与の税務と法務
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7ケース1 相続割合,相続税の計算の仕方と相続について注意すべきポイント2 法律上のポイント(1) 相続という制度の意味(3) 各種税額控除が適用 次に,各人の相続税額から「贈与税額控除額」,「配偶者の税額軽減額」,「未成年者控除額」,「障害者控除額」,「外国税額控除額」,「相次相続控除額」などの税額控除の額を差し引いた金額が,各人の納付すべき相続税額となる。(4) 相続時精算課税制度の場合の贈与税額の還付の適用 なお,相続時精算課税制度を選択して納付した贈与税が納付すべき相続税額より過大であった場合には,還付を受けることができる。 日本の法律では,権利の主体(所有権や契約当事者となることができるもの)は,生きている個人(自然人)か法人でなければならない。このため,死亡した者は権利の主体となれないため,人が死亡すると,被相続人の財産がどうなるのかを法律で定めておく必要がある。 これが民法に規定されている「相続」という仕組みであり,被相続人の財産や借金等(相続財産)は誰に帰属するのか,その割合等はどうなるのかという点について様々な規定が置かれている。(2) 法定相続における注意点 法定相続とは,被相続人が遺言等を遺すことなく相続が発生した場合に適用される制度である。法定相続においては相続財産の取得者は法定相続人のみであり,その相続分は民法で定められた法定相続分による。 誰が法定相続人であるかは,代襲相続や相続放棄,相続人廃除・欠格の有無,その被相続人の死後の遺産分割前に相続人の1人が死亡しているか(数次相続)によっても変わってくるので,戸籍等を調べて十分に確認しておく必要がある。(3) 遺言と法定相続の関係 遺言は,被相続人が生前に行った自己の相続財産の処分等に関する意思表示である。人は自分の財産の処分については自由に決められるのが原則であるから,遺言がある場合は,法定相続分ではなく,遺言者の意思が尊重されることになる。もっとも,遺言が存在する場合でも,全ての相続人と受遺者が合意をすれば,遺言とは異なる方法の遺産分割等を行うことは

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