事例でわかる 生前贈与の税務と法務
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基準評価額乗ずる倍率又は地積土地の相続税評価額市街化調整区域79,200172倍13,622,400(単位:円)差額110,577,600〈図表17 市街化調整区域が市街化区域に編入された事例〉87ケース13 いつ,何を贈与するのかがポイント市街化区域207,000600㎡124,200,0003 都市計画の変更が予想される土地の贈与4 会社の将来性が期待大なら,思いきって自社株式の贈与も 農地から宅地への変更に大きな制限のある「市街化調整区域」から,規制が外れて届出だけで農地から宅地への変更ができる「市街化区域」へ編入されると,土地を農業以外に自由に活用できる反面,その土地の地価にも影響を与えることになり,当然相続税評価額も大幅に引き上げられることになる。 このように,将来都市計画の変更が予想される農地については,現在の相続税評価額が安いうちに贈与税を払ってでも贈与しておくとよいであろう。将来市街化区域に編入された場合,受贈者にとっては,区画整理後の土地と同様,有効活用も可能な価値ある土地になるからである。ただし,農地の贈与については農地法の規制があり,誰にでも贈与できるわけではない。 なお,売却した場合,贈与時の評価額と実際の売却価額との差額は結果として無税で贈与されたことになる。ただし,贈与前から譲渡を前提とした贈与である場合には,譲渡対価を評価額として贈与税がかかるリスクもあるので要注意である。売却時の譲渡所得税は贈与者が払っても,受贈者が払っても同様の金額であり,贈与してもしなくとも同じことである。 将来値上がりすると予想できるものの1つとして株式がある。上場株式の場合,将来の収益力や開発力が確かであるなら値上がりも予想できるが,思わぬハプニングによる値下がりも考えられる。贈与者である親と受贈者である子が相談しながら,“将来性大”である上場株式を贈与するのも1つの方法であろう。 また,会社の所有している土地に金融機関から借入れをして建物を建築したような場合には,取得後3年を超えると不動産の評価は取引価額ではなく相続税評価額になるため,自社株式の評価が大きく下がることが考えられる。

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