事例でわかる 生前贈与の税務と法務
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iはじめに 民法が判決や今の時代の実情に併せて大きく改正されています。平成31年1月13日に自筆証書遺言の財産目録の緩和措置,令和元年7月1日に遺産分割前の仮払い制度・遺留分制度に関する見直し・相続人以外の者の特別寄与料制度等,令和2年4月1日に配偶者居住権等が施行されました。また法務局における自筆遺言証書の保管制度も令和2年7月10日から始まっており,どちらもその利用を考えている人が増えています。 さらに,令和3年4月21日に民法・所有者不明土地国庫帰属法等の民事基本法制の一連の大規模な法改正が成立し,4月28日に公布されました。相続登記の申請義務化は令和6年4月1日に施行,所在不明等共有者がいる場合の対応等土地利用に関連する民法の規律の改正は令和5年4月1日に施行,相続土地国庫帰属法は令和5年4月27日に施行されます。日常的に影響のある住所等の変更登記の申請義務化は令和8年4月27日までの間に施行予定となっています。 また,少子高齢の進行による財政収支の悪化を防ぐために,資産家や高額所得者へ課税強化が着目されています。財産債務調書の提出義務者の拡大や金融資産へのマイナンバー利用の促進,所有不動産記録証明制度の創設等により,資産や所得はますます透明化され5年後にはすべての財産を国が把握できるようになる可能性が高く,相続税と贈与税の一体化も継続して検討されているなか,生前贈与に注目が集まっています。 現行民法では共同相続が原則であり,国家としては「争族」争いによる景気の低迷を嫌い,遺産分割においては法定相続が基本となる,遺言書や贈与においては被相続人の意思を尊ぶという改正が行われたのです。このように相次ぐ民法・税法改正により,今や過去の知識や経験では,財産を次世代に引き継ぐ「遺産分け」と税制改正で強化された「相続税・贈与税」という大きな2つの問題を解決できないのです。今こそ,法律に基づいたしっかりした生前贈与を活用する必要があるのではないでしょうか。 円満な相続,安心な納税のための相談に乗ってきた資産税専門の税理士と弁護士が相談者の皆様が幸せになっていただくために心を砕いて考え抜いた解決は じ め に

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