カスハラ
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カスタマーハラスメント対策の基本第1編第1章 カスタマーハラスメントとは第1編 近時,カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」と略す。)が急激に社会問題化している。(注1) 昔から「クレーム」は一定程度存在していたにもかかわらず,なぜ近時カスハラがこれほど急激に社会問題化したのであろうか。その背景について,以下検討する。ア 端 緒 まず,最も大きな影響を与えたのは,インターネット,スマホ,SNSの普及であろう。 昔からクレームは存在していたが,企業は今ほどクレームを恐れていなかった。なぜならば,悪質なクレームに対しては,企業側もある程度強引な対応ができたからである。 例えば,大声で怒鳴る顧客等に対しては,企業側も大声で怒鳴って対応することもできた。しかし,現在,そのような対応をすると,スマホで録画されSNSで拡散されるおそれがある。場合によっては,企業側が□1 カスハラの社会問題化1(注1) UAゼンセンが,2017年10月に公表した「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査分析結果」によると,全体の48.4%が迷惑行為は近年増えていると感じている。 さらに,同団体がその後の2020年10月に公表した「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査結果」によると,全体の46.5%が直近2年間で迷惑行為は増えていると感じている。1 カスハラの社会問題化1⑴ カスハラが社会問題化した背景カスタマーハラスメント対策の基本

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