カスハラ
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第1章 カスタマーハラスメントとは⑵ カスハラと不当クレームの関係6 一方で,クレームを直訳すると,「要求」,「主張」,「苦情」などを意味する。日常的には,どちらかというと「苦情」という,負のイメージで用いられることが多い。 しかし,後述するように,クレームの中には「正当クレーム」と「不当クレーム」があり,全てのクレームが企業にとって不当なものではない。 一方で,カスハラの中で「正当カスハラ」というものは存在しない。およそ全てのカスハラが企業にとって不当なものである。 なお,第3編にて詳解する厚労省カスハラマニュアルでは,カスハラの定義を「顧客等からのクレーム・言動のうち,当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして,当該要求を実現するための手段・様態が社会通念上不相当なものであって,当該手段・様態により,労働者の就業環境が害されるもの」(厚労省カスハラマニュアル7頁)としている。 それでは,「カスハラ=不当クレーム」なのであろうか。しかし,厳密には,カスハラと不当クレームは別の概念であると思われる。 不当クレームは,あくまでクレームであるため,その根底には「要求」が存在する。ただし,その要求内容やその要求の手段・態様が不当なのである。 一方で,カスハラは,その本質は「嫌がらせ」である。そこには当然①「要求」が含まれているものも多いが,「要求」が含まれていなくとも,②「顧客による嫌がらせ」であれば「カスハラ」といえよう。 具体例を挙げて説明する。 あるタクシーの運転手が道を間違えたとする。 このとき,顧客が大声で怒鳴り,「道を間違えたんだから料金を払う必要はない」と主張した場合,顧客の主張には「料金を払いたくない」という要求があり,これは「不当クレーム」であり,「カスハラ」である(前記①に関連)。 では,このとき,顧客が料金はきちんと支払った上で,後日,SNS上に

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