第2章 厚労省カスハラマニュアルについて146 上記からもわかるとおり,厚生労働省も,厚労省カスハラマニュアルを各企業がそのまま使うことまで想定していない。各企業としては,同マニュアルを参考にして,業界ごと,企業ごとに独自に個別具体的なマニュアルを作成する必要がある。(厚生労働省医政局看護課)・マニュアルやポスターについては,どの程度各業界に特化した内容になるのか。普遍的なものになるのか。それによってどの程度活用できるか,どのように周知すべきかが異なる。マニュアルやポスターの作成について反対したいという趣旨ではなく,看護業界では患者の権利擁護という観点からも議論されてきたところであり,内容によっては逆効果になってしまうことを懸念している。(厚生労働省雇用環境・均等局雇用機会均等課)・マニュアルは,主に想定しているのは飲食業界や小売業界等の企業向けのものだが,特定の業界に特化した内容にすることは考えていない。業界としてそのまま使えない場合は,今回作成するマニュアルを参考にして,特定の業界向けに作成するといった使い方をしていただければと考えている。3 カスハラマニュアル作成の留意点3 厚労省カスハラマニュアルを参考にして,業界ごと,企業ごとの個別具体的なマニュアルを作成する場合の留意すべき点について解説する。 まず,「カスタマーハラスメントの判断基準」や「カスタマーハラスメントへの対応方法」は業種や業態,企業文化などによって異なるため,各企業が主体となって準備する必要がある。 また,カスハラマニュアルの実用性を更に高めるためには,従業員(顧客対応者)にヒアリングを実施し当該企業の過去のカスハラ事例を分析した上で,よくある事例への対処法を盛り込む,よくある質問をQ&A形式で記載する,よく使う書式の参考書式例を記載する,などできる限り具体的な記載にすることが有益である。 最も重要なことは,経営層や法務部門のみで作成するのではなく,カスハ
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