カスハラ
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業界別カスハラ対応ケーススタディ第4編第1章 小売業界第4編□1 小売業界のカスハラの特徴175 小売業におけるカスハラは取扱商品や価格帯,顧客層,営業時間等によって多種多様であるが,大きく分けると「モノ」が原因となるケースと,「ヒト」が原因となるケースに分類できる。前者は商品に欠陥があるといった主張,後者は店員の対応が気に入らなかったといったような主張である。 「モノ」が原因となるケースでは,顧客の受けている損害が分かりやすい。商品に欠陥があるという主張であれば,欠陥の有無を確認し,交換すれば顧客の損害は消える。その対応を基本線として,欠陥に関する主張が事実ではなかった場合や,返品・交換を行ってもなお要求をやめない場合にはカスハラ対応に切り替えるといったような対応フロー(飽くまでも一例であることに留意されたい)が策定しやすい。その意味では,苦労することはあっても,何を実行するかという点で迷うことは少ないように思われる。 他方,小売業において特に顕著であり,悩みも多いのは「ヒト」が原因となるケースである。この場合,多くのケースでカスハラ顧客が主張するのは,「気分を害したから対応(謝罪)しろ」,「客なのだから言うことを聞け」というレベルの,何ら当人が損害を被っていないような主張である。その意味で法的に恐れるべき主張ではないのだが,反面として個人の価値観に帰着する問題であるから,「解決」を目指すと対応に非常に苦慮する。1 小売業界のカスハラの特徴1⑴ 「モノ」と「ヒト」に分けた思考方法が必要であること業界別カスハラ対応ケーススタディ

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