ii表後の方がむしろ増えており,「厚労省カスハラマニュアルを読んだが具体的に何をすればよいのかわからない」,「自社独自のカスハラマニュアルを作成するのを手伝ってほしい」などの声が数多く寄せられている。 そこで,本書は厚労省カスハラマニュアルに対応するとともに,同マニュアルの記載では足りない部分を補うことを目的としている。 本書の特徴は,大きく以下の3点である。 第一に,厚労省カスハラマニュアルに対応している点である。これまでもカスハラ関連書籍はいくつか出版されているが,本はしがきを執筆する時点において,厚労省カスハラマニュアルに対応しているカスハラ関連書籍はほとんど存在しない。そこで,「第3編 厚労省カスハラマニュアルを踏まえ企業がやるべきこと」を設け,厚労省カスハラマニュアルをいかに読み解き,いかに企業が活用していくべきかについて解説した。またその他の編においても,厚労省カスハラマニュアルの定義や図を適宜引用することを心掛けた。 第二に,厚労省カスハラマニュアルの不足部分を補足している点である。厚労省カスハラマニュアルは一般的・総則的な説明はしているが,企業が最も頭を抱えている「目の前の不当クレーマーにどう対処すべきか」という実務的な対応に関する記載はほとんどない。そこで,「第2編 カスタマーハラスメントの実務対応」を設け,具体的なケースに応じた対応方法を解説した。さらに,厚労省カスハラマニュアルやその他のカスハラ関連書籍においても整理できていなかった「クレーム」,「正当クレーム」,「不当クレーム」,「カスタマーハラスメント」の概念整理など,これまで曖昧にされていた部分についても,勇気をもって踏み込んだ記載をすることを心掛けた。 第三に,業界ごとの特徴とケーススタディを記載している点である。厚労省カスハラマニュアルにおいても,業界ごとに取り組むべきカスハラ対策が異なる点が指摘されている。そこで,「第4編 業界別カスハラ対応ケーススタディ」を設け,特にカスハラ被害に悩んでいる業界について,業界の特徴とケーススタディを記載した。全ての業界を網羅することはできなかったが,類似の業界においても参考になるような視点やヒントをできる限り記載するよう心掛けた。
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