3対象財産からみた執行の分類3 執行手続はいろいろありますが,その手続の種類よりも,それぞれの財産の種類に応じてどのような手続があるのか,具体的に財産の種類によってどのような手続をとることができるかを考えてみます。⑴ 不動産に対する執行7するにあたっては,債務者の誰に対する債権か,その債権は給料なのか,預貯金なのか,貸金の返還請求権なのか,それらすべてについて,申立てをする債権者が特定しなければなりません。事前にわかっていたり,調査をしたら判明することもあるでしょうが,一般には,他人がどのような財産を持っているかなどわからないでしょう。 そこで,平成15年の法改正によって,「財産開示」手続が新たに設けられました。これは,債権者が裁判所に対して財産開示手続の申立てをすることにより,裁判所から債務者に対してその所有する財産を公開するように命ずる制度です。 実施決定が確定したら,裁判所は,1か月ほど後の日を財産開示期日として指定したうえで,債務者に対し「債務者の財産目録提出期限」を指定します。 財産開示期日では,債権者から債務者へ質問をすることができます(民執199条4項)。① 強制競売(民執45条〜) 債権者が勝訴判決や和解調書,調停調書などを債務名義として,相手(債務者)の所有する不動産を売却してその代金を債権者へ配当する手続を裁判所に申立てするものです。強制競売開始決定が出されると,不動産が差し押さえられ,裁判所によって売却されます。ただし,差押え後も債務者はその不動産を使用することができます。この点については,差押えをされるとその家に住んでいる人(債務者である所有者もしくは賃借人など)がすぐにでも出ていかなければならないと思っている人が多いのですが,差押え後も債務者である所有者はその不動産を使用することができるので,すぐに出ていか3 対象財産からみた執行の分類
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