法不動
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② 物上代位に基づく債権差押命令申立て これは,担保権を設定している財産から生ずる収益などにも担保権の効力が及ぶとして,それら担保物から生ずる収益,もしくは担保物に変わる物に対して差押えをして,それを換価して担保権者である債権者への弁済に充てる手続です。基本的には,債権差押えと同じく裁判所への申立てをしますが,債権差押えとは異なり,債務名義を必要とせず,担保権の設定を証明する文書が必要です。 利用される具体的な例としては,担保物としている不動産を他人に賃貸している場合の賃料を差し押さえたり,担保物である建物が焼失した時の火災保険金請求権を差し押さえるような場合があります。⑶ 動産に対する執行(動産差押え,民執122条〜) これは,強制競売と同じく勝訴判決や和解調書,調停調書などを債務名義として,債務者の所有する動産を差し押さえて売却し,その売却代金を債権者への弁済に充てる手続で,執行機関は執行官となります。ただ,差押えが禁止される動産があり,その範囲も広いため,さらに高額で売却される動産が少ないということからすると,他の執行に比べて実効性は低いといえるかもしれません。10第Ⅰ章 民事執行手続とは何か

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