6でざわめいている。毛利と小早川は,ようやく空いた席を見つけて,座ることができた。毛利は,来月から独立して事務所を開こうとしている若き弁護士である。弁護士としての経験はまだまだ浅いが,ひとりの弁護士として,時代を切り開きたいとの気宇は壮大である。小早川は,毛利が勤務していた法律事務所の事務職員である。新人時代の毛利と同じ時期に入社し,一緒に成長してきた間柄である。毛利が独立すると聞いて,一緒に連れて行ってほしいと頼み,ボスの了解も得た。今日,2人は独立に向けて情報を仕入れようと法律事務所の事務職員の活用に関するシンポジウムに来た。「毛利先生,今日は何か良い情報あると良いですね。」小早川が言った。「そうだね……。事務所運営の経験なんてないから,正直不安しかないからね。」と毛利が言う。いざ独立が迫ってくると,独立しようと決めたときの勢いよりも,いろいろな不安が勝ってしまう。「私は,先生は必ず成功する人だと思っていますから,大丈夫ですよ。私も,頑張りますから。」相変わらず,小早川は元気だ。「そうだね。私も,法律のことは多少自信があるけど,それ以外のところはいろいろ頼りにしているよ。」毛利は言った。小早川の元気さは,救いになる。小早川が,仕事はきっちりとやり遂げるし,向上心もあることを毛利はとっくに知っている。(一緒にやれば,何とかなるよな。)そう思うと,独立を待ち望ん幕開けザワザワ……会場は,これから始まるシンポジウムに対する期待
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