法経営
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法律事務職員の活用について7でいたときの期待が再び膨れ上がってくる。そのとき,ステージに司会者と思われる男性が進み出てきた。会場のざわめきがだんだんと静まってくる。「ご来場のみなさま。」絶妙のタイミングで,司会者が口火を切る。「本日は,法律事務職員活用のシンポジウムにご来場くださり,誠にありがとうございます。私は,本日の司会進行を務めさせていただく,弁護士の平岡将人と申します。」「近年の時代の変化から,法律事務所経営も殿様商売ではいられません。時代のニーズ,クライアントのニーズをつかみ,それを可能とする組織体制を構築し,国民にとって,企業にとって,より良いサービスを追求していかなくてはなりません。」「そのような法律事務所を作っていくため,経営者である弁護士は,事務所の経営資源を十分に活用し,事務所の強みを創りだし,勝負していかなくてはなりません。」(強みか。何だろう。)毛利は思った。(今のところ,うちの事務所の強みは,自分自身の能力だけだ。)何と心細いことか。毛利はくすりと笑った。「実際のところ,法律事務所の多くは,弁護士自身が強みの中核となっています。そうであれば,その強みをより引き出し,より効果的に使うために,経営資源をどのように組み合わせるかを考える必要があるのです。」「現在,様々な弁護士補助ツールが開発されており,今後も,弁護士の仕事はより便利になるのかもしれません。しかし,法的サービスの根幹は人にあります。弁護士を伝統的に支え続けてきた法律事務職員こそが,弁護士の強みを引き出し,弁護士を支え,クライアントに対するサービスを支える最高のサポーターだと考えています。」

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