法経営
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12取り巻く環境は厳しさを増しています。そして,弁護士の疲弊は,業務の品質の劣化に繋がりかねず,弁護士からの法的サービスの受益者たる顧客の権利実現に悪影響を与えかねません。よって,弁護士の顧客(利用者)の目線でこの司法改革の功罪を検証し,仮に維持すべきものがあるのであれば存続させ,改めるべきは勇気を持って見直されるべきであります。しかし,私ども,個々の弁護士は日々厳しい状況のなかで業務に携わらざるを得ず,司法改革と称する政策を嘆き,政府による改善(修正)を待っている余裕はありません。したがって,個々の弁護士の努力と工夫によって,弁護士業務の合理化と改善を模索し,豊かな法律事務所を構築しなければなりません。特異な例外を除けば,弁護士がその使命である依頼者の権利実現に安定的に寄与するためには,まずもって,安定的な経営基盤を確立することが肝要であります。その前提としての合理的な収益の獲得ですが,その方策は様々でしょうが,本書においては,法律事務職員の有効活用という方策(切り口)について,私どもの有する知見を提供するものであります。即ち,私ども,個々の弁護士は,自分自身で実現できることから取り組み始め,弁護士業務を活性化(質量共に発展)させるために,顧客に対して良質な法的サービスを提供する基盤の構築を図るべきであります。若手を中心とした多くの弁護士は,財政的不安からか,本来であれば,法律事務職員の積極活用によって享受できるはずの業務遂行上のメリットを,断念・放棄せざるを得ない状況にあります。法律事務職員を単なる事務所経営上の経費(コスト)としか考えられず,法律事務職員の活用により,弁護士業務・法律事務所を発展させるという視点と意欲を持てない状況にあります。これは,当該弁護士・当該法律事務所が衰退していくといったことに留まらず,顧客

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