第1 法律事務職員とは何者か?13に対する法的サービスの劣化といった重大な問題を招来します。そして,弁護士業界全体に対する社会的信頼が低下し,他士業等の跳梁跋扈を許し,ますます,個々の弁護士の業務環境(顧客誘引力)を悪化させてしまいます。① 問題意識その壱(負のスパイラルからの脱却)法律事務職員の雇用は固定経費の増加にすぎないと考える弁護士の増加が心配です。いわゆる司法改革,そのなかでも安易で無定見な弁護士人口の増加策が惹起した惨状は,経営基盤の崩壊に直面せざるを得ない若手弁護士を中心として,切実な現実であります。しかし,経済的不安から法律事務職員の活用を断念して,本来であれば法律事務職員に委ねられるはずの諸事務を弁護士自ら担当するといったスキームは,弁護士の業容をシュリンクさせるだけであります。経費節減のために弁護士自ら諸事務に埋没することは,弁護士でなければできないこと(研究や研鑽,人脈の形成等)に投入すべきエネルギーと時間を空費し,当該弁護士の将来への布石や新たな業務の開拓を断念することになりかねません。正に,「負のスパイラル」に陥るばかりかと思います。このことは,AIやDXを活用したとしても,本質的には同じです。法律事務職員を合理的に活用しつつ,同時に,AIやDXも駆使する弁護士と比較すれば明らかです。弁護業界が疲弊しつつある今だからこそ,法律事務職員の積極活用を考えてみては如何でしょうか?② 問題意識その弐(事務所全体の能力向上へ)国民の多様化し複雑化する法的ニーズに対して,現在の法律事務所は十分に対応できているのでしょうか? 私は,極めて悲観的で
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