民ガイ
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B子A吉C美B子A吉B子71 家庭内での会話 認知症になったら、普段の生活も大変だけど、他にも困ることもありそうよね。 お隣の佐藤さんのおじいさん、重い認知症で施設に入っていらっしゃるけど、おじいさん名義の空家を売ろうとしたら、不動産屋さんに「本人が認知症で意思確認ができないから、少なくとも成年後見人をつけないと売れない」と言われたそうよ。結局、成年後見人はつけず、空家は売らないことにしたんですって。使っていなくても固定資産税はかかるし、庭の草抜きもしないといけないし、大変よね。 それはドキッとする話だな。 実は、まだみんなには伝えていなかったけど、もし私もお母さんも介護が必要になったり認知症になったりして施設に入ることになったときは、この自宅を売ろうと思っているんだ。誰も住まなくなった家を空家のまま放置するのは物騒だし、親父が死んだときに、空家になった実家の管理に苦労したからな。 なんで佐藤さんは成年後見人をつけなかったんでしょうね。 詳しいことはわからないんだけど、佐藤さんの親戚に成年後見人をつけた人がいたそうなの。でもその後、毎年1回家庭裁判所に財産の額や、財産を何に使ったかを報告しないといけなくなって、すごく苦労されているそうよ。 そうか、私も自宅を売るためだけに成年後見人をつけて、その後、死ぬまで家庭裁判所の監視下に置かれるのは避けたいなぁ。 そうね。できるだけ子供たちに手間をかけないようにしてあげたいわ。

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