民ガイ
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問題や前提条件は様々であるため、世間一般的に言われている活用事例と状況が似ているからといって、信託の活用がベストな解決法であるとは限りません。委託者候補にとって、本当に信託が必要なのかどうかということや、実行のタイミングについては、専門家を交えて幅広い視野で検討する必要があります。 民事信託は、商事信託と比べて低コストかつ柔軟性のある設計にすることができるというメリットがあります。そのため、「ぜひ民事信託を活用したい」と考える方は多いです。 しかし、受託者とは、「信託行為の定めに従い、信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をすべき義務を負う者」であり、受託者には、信託事務遂行義務の他、善管注意義務、忠実義務、公平義務、分別管理義務、帳簿等の作成・報告及び保存の義務等の義務があります。受託者の義務・責任・信託財産責任負担債務➡60ページ したがって、信頼できる家族であれば誰でも受託者になれるかというとそうではなく、これらの義務を適切に果たせる能力がある者を受託者として選任する必要があります。 また、信託財産から支払わなければならない債務については、基本的に受託者の固有財産についても責任財産となります。したがって、特に家族以外の者が軽い気持ちで民事信託の受託者になることにも注意が必要です。 つまり、民事信託のデメリットとしては、①信頼でき、かつ適切に事務処理ができる受託者が身近に見つからない場合があること、②身近な家族等の中から受託者が見つかった場合であってもその者に負担がかかること、③万が一受託者が不正をした場合にはそれをみつけにくいこと等があげられます。 したがって、何がなんでも民事信託で実行しようとするのではなく、適切な受託者がみつからない場合や、商事信託で実行した方が効率的・安心であると考えられる場合等には、早い段階で商事信託の活用を検討するようにしましょう。商事信託の検討➡66ページ80第4章 専門家や当事者が押さえておくポイント⑵ 受託者の適性を見極める(民事信託ありきで考えない)

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