4_倒講
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7第1講 倒産法─総論破産者A破産管財人②換価買受人集団的に破産債権を確定させ,③配当する手続となります。 このように,破産手続は,全破産債権者のために公平な分配を行う清算手続ということです。そして,破産法は,手続法の側面と倒産実体法の側面を併せ持つ法律なのです。⑵ 法人と個人の違い 破産手続は清算手続だという大きなイメージを持っていただいた上で,もう少し話を進めましょう。 これまでに見た債務者AがA株式会社という法人だった場合,破産手続開始決定を受けることで解散し(会471⑤),破産法の大きな役割である適正かつ公平な清算が行われ,平等な分配がされた後,法人格は消滅します。債権者BCDの残債権は,回収できず,損金として処理されることになります。 ところが,債務者がA氏という個人(自然人)だった場合,法人と異なり破産手続で平等な分配がされた後も債権者BCDの残債権は残ったままになります。ここで,平常時に戻してしまったら,また債権者の個別の権利行使が可能な世界となってしまいますので,せっかく破産手続を経た意味がなくなってしまいます。そこで,債権者BCDの残債権を法的に請求できないものにする,免責という制度(破248以下)を設けることで,A氏ら個人債務者の経済生活の再生の機会の確保を図っています。この点も破産法の大きな役割の1つです。破産債権者B②′集団的に破産債権を確定破産債権者C破産債権者D①破産手続開始決定=包括的差押え③配当

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