4_倒講
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8⑶ 破産手続の流れ 「破産」や「破産者」を意味するBankruptは,北イタリアの貸金業者が破綻したときに机を壊したことに由来するようですが,これまでに見てきたように,破産手続が行っていることは,清算,すなわち平等な分配です。経済的に破綻したことを表す用語としては言い得て妙だったのかもしれませんが,新たな用語を考えるべき時期なのではないでしょうか。コラム 「破産」「破産者」という用語第1編 倒産法─総論A株式会社A氏 このように,債務者が法人の場合と個人の場合で大きな違いがあります。 まず,債務者が法人の場合を想定して破産手続の流れを見ると,右のとおりです。手続には最初があれば最後がありますが,その際,枝葉は捨象して,シンプルに手続が順調に進んだらどうなるか,という視点で見ることが肝要です。破産手続開始の申立ては,債権者からもできますが,債務者自らが行う自己破産申立てが大多数です。そして,破産手続開始決定により倒産時の世界となり,この破産手続開始の効果が極めて重要となります。 次に,債務者が個人の場合を想定すると,自己破産申立てが大多数である点は同じですが,法人の場合と大きく2つの点で異なります。 1つは,先ほど見た免責制度です。免責制度は個人債務者に特有の制度ですが,免責手続は破産手続とは別手続とされています。もう1つは,債務者の財産が乏しく破産手続を行うだけの意味がない場合,裁判所は破産手続開始決定と同時に廃止決定を出す,いわゆる同時廃止が多いということです。同時廃止になった場合,免責手続のみが進行することになります。破産法人格消滅A氏生きて経済生活を続ける破産手続開始申立て破産手続開始決定破産財団の管理・換価債権の届出・調査・確定財産状況報告集会配 当破産手続終結決定破産手続開始申立て破産手続開始決定破産手続廃止決定免責・復権

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