4_倒講
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10⑶ 実体法上の優先権第1編 倒産法─総論とで,担保を取り信用補完を図りたいと考えるでしょう。 そして,実は,これらの担保権は,倒産時にも尊重されることになります。なぜなら,担保権は,債務者が破綻した際にこそ役立つものだからです。⒜ 人的担保 人的担保の典型例は,連帯保証です。連帯保証であれば,連帯保証人は保証債務を負いますので,債権者からすれば,債務者を増やしたことになります。すなわち,責任財産が増加することになります。債務者Aが破産しても,その影響を受けず,債権者Bは,連帯保証人Cに保証債務履行請求権を行使することができます。 ただ,連帯保証人Cも破綻した場合は,同様の倒産リスクとなります。⒝ 物的担保 物的担保の典型例は,抵当権です。抵当権の設定を受けていれば,平常時でも担保権の実行として担保不動産競売が可能で,交換価値から優先弁済を受けることができます。この点,債務者が破産しても,別除権(破2Ⅸ),字のとおり別に除かれた権利として,もちろん一定の制約はありますが,破産手続外での担保権の実行が可能とされていますので,債務者Aの破産財団に属する財産であるのに,その交換価値から優先弁済を受けることができ,他の破産債権者は,その財産からの配当を受けることはできません。 このように債権者平等原則の例外となりますが,債務者の限られた財産,すなわちパイを担保権者と一般債権者で奪い合う場面の1つとなります。 信用供与に関連して,債権自体に実体法上の優先権が付与されている場合があります。平常時,債権は一般債権として平等に取り扱われ,倒産時も債権者平等原則に服しますが,その債権自体に実体法上の優先権が認められて債権者B1000万債務者A1000万連帯保証人C1000万債権者B債務者A抵当権

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