4_倒講
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11⑷ 倒産法独自の規律第1講 倒産法─総論優先的破産債権一般の破産債権劣後的破産債権買主A(破産者)破産管財人いる場合,すなわち債務者の総財産に対して優先権がある場合,倒産時にも尊重され,優先順位が定められています。 ここでは,イメージをしてもらうために,典型例として税金(租税等の請求権)と労働債権を挙げておきます。租税等の請求権は,国の徴税権の確保のため一般的優先の原則が定められ,労働債権も社会政策上,民法で一般の先取特権とされています。これらの債権は,破産手続においても,その優先権が尊重され,一般の破産債権に優先する優先的破産債権となり,さらにその一部が財団債権となるものもあります。 破産手続における債権者平等原則は,法の定める優先順位に従い,同順位の債権者間では平等に扱われるということを意味しますので,何でも平等というわけではないのです。 ここでも債務者の財産という限られたパイの奪い合いの場面となります。 これまで,民法の世界の修正,尊重と見てきましたが,倒産法の世界の独自の規律もあります。その典型例が,双方未履行の双務契約の規律です。この点も信用供与に関連して見ておきたいと思います。難しそうな話だと思われるかもしれませんが,平常時,民法の世界から考えれば,民法に規定されていない場面を処理するための規律だとイメージしていただくことで結構です。 例えば,商品の売買契約を締結したところ,双方の履行が未了のまま,買主Aが破産した場合,売主Bの代金請求権は,一般債権ですから破産債権となりますが,買主Aの引渡請求権と2本のベクトルが向き合った関係にあり,買主Aの破産管財人が売主Bに対し商品の引渡しを請求しても,売主Bから同時履行の抗弁権(又は不安の抗弁権)を主張され,逆に契約を解消したく代金債権売主B目的物引渡債権処理したい財団債権

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