4_倒講
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13⑵ 経営権の維持─DIP型第1講 倒産法─総論配当販売先カネ現預金(売上)販売製品支払返済業は継続していくわけですが,サイクルのどこかで躓くと利益が生み出せなくなったり,借入金の返済や仕入代金,給料,税金等が支払えなくなったりしてしまいます。 うまくいかなくなった最後の姿が,先ほどまで見ていた破産です。事業を継続する資金が持たず,やむなく事業を停止し,解体・清算していくわけです。 しかし,事業で利益は生み出せるが,借入金等の負担が重すぎ,資金繰りが苦しいため,債務の負担を軽くしてもらえたら,事業を継続しつつ分割して弁済できるという場合,債権者の多数に債務免除を了解してもらえるのなら,裁判所は債権カットを認めよう,そのようにして債務者の事業の再生を図ることを認めようというのが民事再生です。 倒産時の世界に,「事業の再生」という大きな目標が追加されるわけです(民再1)。そのため,民事再生は再建型の法的整理手続と位置付けられます。破産法の世界と民事再生法の世界の比較としては,民事再生法の世界は,破産法の世界の手前ということになります。 民事再生は,原則として従前の経営者の経営権を維持し,事業を継続しつつ債務の整理を行うという点で,破産とは発想が全く異なります。事業の再生と債務の整理という二兎を追い,両方を実現しようとするわけです。仕入先(経費)原材料株 主出資A株式会社ヒト従業員モノ資産仕入製造原材料支払(売上)−(経費)=利益貸付金融機関製品

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